コラム
食形態は代表的に6種類!それぞれの特徴や選び方、介護食を用意するときのポイントを解説
高齢になると、噛む力や飲み込む力が少しずつ低下し、体の状態に合わない食事は誤嚥や低栄養の原因になることがあります。介護食を提供する際に「柔らかければ安心」「刻めば大丈夫」という単純な判断をしてしまうと、安全性は守れても食事本来の楽しみを失い、食欲低下につながりかねません。
本記事では、食形態の基本的な考え方から、6種類の代表的な食形態それぞれの特徴、選び方、介護食を用意するときのポイントについて解説します。「今の食事が合っているか不安」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、分類方法は施設や専門職によって異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
食形態とは?
食形態とは、噛む力や飲み込む力によって、食材のかたさ・大きさ・まとまりやすさを調整した食事の状態を指します。高齢になると、加齢や病気の影響で食べる力が低下しやすく、状態に合わない食事を続けると、誤嚥や窒息、食事量の低下による低栄養につながるおそれがあります。
介護食では、ご本人様の摂食・嚥下機能に応じて、無理なく安全に食べられる形態へ調整することが重要です。適切な食形態を選ぶことで、安全性を確保しながら食べる楽しみを守り、生活の質の維持にもつながります。
食形態の代表的な種類
食形態にはいくつかの種類があり、適切な食形態を選ぶことで、誤嚥や窒息のリスクを減らしながら、安全に食事を続けられます。本章では、介護の現場でよく用いられる代表的な6つの食形態について、それぞれの特徴や向いている方、注意点を解説します。
通常食(常食)
通常食(常食)とは、健康な方が日常的に食べている一般的な食事のことです。特別な加工を行わず、噛んで飲み込むことを前提とした形状になっています。噛む力や飲み込む力に問題がない方には適していますが、高齢者の場合、表面上は食べられていても負担がかかっていることがあるため、食事中の様子をよく観察することが大切です。
きざみ食
きざみ食は、通常食を細かく刻んだ食事で、噛む力が弱くなってきた方に用いられます。一見すると食べやすそうに感じますが、食材が口の中でまとまりにくく、飲み込む力が低下している方には誤嚥のリスクが高まります。そのため、きざみ食は「噛む力は弱いが、飲み込む力は保たれている方」に向いた形態です。
ソフト食
ソフト食は、歯や歯ぐき、舌でつぶせる程度まで柔らかく調理された食事です。噛む力が落ちているものの、ある程度飲み込む力が残っている方に適しています。ハンバーグや煮魚など見た目は通常食に近いため、安全性に配慮しながら楽しく食事ができます。一方で、嚥下機能が大きく低下している場合は不向きなこともあるため、状態に合わせた判断が欠かせません。
ミキサー食
ミキサー食は、食材をなめらかなペースト状にした食事で、噛む動作をほとんど必要としません。噛む力がほとんどない方に適していますが、水分が多いと誤嚥しやすくなるため、とろみ調整が欠かせません。また、見た目が単調になりやすく、食欲低下につながることもあるため、盛り付けや味付けの工夫が求められます。
軟菜食
軟菜食は、食材を長時間加熱するなどして柔らかく調理した食事で、消化しやすい点が特徴です。通常食に近い形を保ちながら噛む負担を軽減できるため、噛む力が弱くなり始めた方に向いています。ただし、飲み込む力が著しく低下している場合には適さないため、食事中のむせや残留の有無を確認しましょう。
(施設によってはソフト食と同義、または近い位置づけで扱われることもあります)
流動食
流動食は、液体状で提供される食事形態で、嚥下機能が大きく低下している方に用いられます。飲み込みやすさを重視しますが、水分が多いほど誤嚥の危険も高まるため、とろみの調整が不可欠です。長期間の流動食は栄養不足につながることもあるため、医師や管理栄養士と相談しながら進めましょう。
食形態の選び方
食形態を選ぶ際に最も大切なのは、今どの程度まで噛めて、どのように飲み込めているかを基準に判断することです。見た目や年齢だけで決めてしまうと、誤嚥や低栄養、食欲低下を招くおそれがあります。
近年は、家庭でも判断しやすいように公的な基準や表示制度が整備されており、その代表例が「スマイルケア食」と「ユニバーサルデザインフード」です。これらを理解することで、食形態選びの迷いを減らせます。
スマイルケア食
スマイルケア食とは、農林水産省が定めた介護食の表示制度で、噛む力・飲み込む力・栄養状態に配慮して食品が分類されています。青・黄・赤の3色マークで状態の目安が判断できます。
・青マーク:噛む・飲み込みに大きな問題はないが、栄養補給を意識したい方向け
・黄マーク:噛む力が低下している方向け
・赤マーク:飲み込む力に配慮が必要な方向け
表示を確認することで、専門知識がなくても食べる力に合った食品を選びやすくなります。ただし、実際の食事中の様子と合っているかの確認は怠らないようにしましょう。
ユニバーサルデザインフード
ユニバーサルデザインフード(UDF)は、日本介護食品協議会が定める基準で、食べやすさに配慮した食品を4段階に区分しています。「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」と示されており、噛む力の低下段階に応じて選択可能です。
パッケージ表示が分かりやすいため、市販の介護食を選ぶ際の目安として活用しやすい一方、飲み込みに不安がある場合は、とろみの有無なども含めて慎重に判断する必要があります。
介護食を用意するときのポイント
介護食を用意する際は、安全に食べられることと、食事を楽しめることの両立が欠かせません。噛む力や飲み込む力は人それぞれであり、同じ年齢でも適した食事内容は変わります。本章では、ご本人様の状態や好みを踏まえながら、無理なく続けられる介護食の工夫について解説します。
噛みやすさや飲みやすさを工夫する
かたい食材や繊維の多い食材は、噛む力が弱いと口の中に残りやすく、誤嚥の原因になります。食材を小さめに切る、かたい食材には切れ目を入れる、煮る・蒸す・圧力鍋で柔らかく調理するなどの方法で対応しましょう。
また、飲み込みに不安がある場合は、とろみ剤を使って適度な粘度をつけることで、誤嚥リスクを減らせます。食事中のむせや声の変化が見られた場合は、調理方法や形態の見直しが必要です。
栄養バランスを意識する
介護食では食べやすさを優先するあまり、栄養が偏りがちです。食事量が減りやすい高齢者では、栄養不足が筋力低下や体力低下につながります。特に、骨や歯を支えるカルシウム、筋肉維持に欠かせないタンパク質は意識的に取り入れたい栄養素です。
塩分は持病との兼ね合いを考慮しつつ、だしや香味野菜を活用して、薄味でも満足感を出す工夫がおすすめです。また、便秘予防に役立つ食物繊維や、脱水を防ぐ水分も不足しないよう、スープやゼリーなども活用しましょう。
見た目を美味しそうに盛り付ける
介護食では、見た目が本来の食事のイメージとかけ離れてしまうことがあるため、食欲維持に大きく影響します。柔らかい食事やペースト状の食事は代わり映えしにくいため「食べたくない」と食事の時間が憂鬱になる高齢者も多いです。
食材の色を活かして彩りを意識する、器の色や形を変える、盛り付けに高さや余白を持たせるなどの工夫で、印象は変わります。食事を安全のためだけのものにせず、季節感やご本人様の好みを取り入れることで、食事の時間が楽しみにつながります。
まとめ
食形態を噛む力や飲み込む力などの状態に合わせて調整することで、誤嚥や低栄養を防ぎながら、安全に食事を続けられます。「柔らかければ安心」「刻めば安全」といった一律の判断では、かえって食べにくさや食欲低下を招くこともあります。食事は栄養を補うだけでなく、日々の楽しみや生活の質にも深く関わるものです。安全性・栄養・見た目のバランスを意識し、その人らしく食事を続けられる環境を整えましょう。
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