コラム
脊髄小脳変性症の8つのリハビリテーション方法を分かりやすく解説します
脊髄小脳変性症は、運動機能に深く関わる小脳などの神経が徐々に減少・破壊され、歩行のふらつきや言葉の不明瞭さ、手足の動かしづらさなどの症状が進行する難病です。完治が難しいとされる一方で、リハビリテーションによって症状の進行を抑えたり、日常生活の質を保てたりできるといわれています。
本記事では、実際に効果が報告されている、8つのリハビリテーションの方法を分かりやすく解説し、ご家族や介護を担う方に役立つ実践的な情報をお届けします。
脊髄小脳変性症とは?
脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳や脳幹、脊髄などの神経細胞が徐々に変性・脱落することで、運動の調整が難しくなる進行性の神経疾患です。歩行時のふらつき、手足の震え、発音の不明瞭さなどが代表的な症状で、進行に伴い日常生活に支障をきたします。
現在のところ根本的な治療法はなく、薬物療法やリハビリテーションを中心とした対症療法が行われています。特に、運動機能を維持するための継続的なリハビリテーションが重要とされており、生活環境の整備や誤嚥予防の工夫も欠かせません。早期に症状に気づき、専門医の診断を受けることが、進行を緩やかにする第一歩となります。
リハビリテーションで期待される効果
脊髄小脳変性症に対するリハビリテーションは、運動機能の改善だけでなく、日常生活の自立や精神的な安定にも効果が期待されています。実際の研究では、バランス訓練や筋力トレーニングによって、歩行能力やADL(日常生活動作)が向上したという報告があり、短期間の集中リハビリテーションも有効であることが示されました。
また、定期的な運動により、気分の落ち込みが緩和され、生活の質(QOL)向上にもつながることが明らかになっています。進行を完全に止めることは難しくとも、機能を維持しながらより快適な日常を送るために、リハビリテーションは大きな意味を持つといえるでしょう。
脊髄小脳変性症の8つのリハビリテーション
脊髄小脳変性症では、進行に応じてさまざまな機能が低下していきます。日常生活を少しでも快適に保つためには、多角的なリハビリテーションの取り組みが重要です。本章では、代表的な8つの方法を紹介します。
➀ストレッチ
ストレッチは、筋肉や関節の柔軟性を保ち、動きの硬さや関節の拘縮を予防するために欠かせません。脊髄小脳変性症では動作が緩慢になり、同じ姿勢でいる時間が長くなるため、身体が硬くなりやすい傾向があります。
腕や脚をやさしく伸ばす四肢のストレッチや、体幹部を伸ばすことを意識した背中や腰のストレッチを定期的に行うことで可動域を広げ、姿勢の維持や動作のしやすさにつなげます。
②筋力トレーニング
筋力トレーニングは、身体機能を支える基礎を強化するリハビリテーションの一つです。特に転倒予防には、下肢や体幹の筋力を維持することが不可欠です。椅子に座って行うスクワットや段差昇降運動、専用マシンを使ったレッグプレスなどが代表的といえます。
無理のない範囲で回数や負荷を調整することで、疲労や転倒を防ぎながら、日常生活の動作能力を維持・向上させる効果が期待できます。
③おもり負荷
おもり負荷を活用した運動は、感覚への刺激を強め、運動の意識づけや再学習を促す効果があると報告されています。手首や足首に軽いおもりを装着し、腕の上げ下げや歩行などを行うと、筋肉に適度な刺激が加わり、身体をスムーズに動かす感覚を養いやすくなります。
ただし、重すぎるおもりは疲労や転倒のリスクを高めるため、理学療法士など専門家の指導のもと、安全な範囲で実施することが重要です。
④バランストレーニング
バランス能力の低下は転倒リスクに直結するため、早期からのトレーニングが有効です。代表的な方法には、手すりにつかまりながらの片足立ちや、バランスボード・クッションを使った不安定な足場での立位練習などがあります。
はじめは支えが必要でも、徐々に自力での保持時間を延ばしていくことで、姿勢をコントロールする機能が鍛えられ、移動時の安定性が向上します。
⑤歩行練習
歩行練習は、脊髄小脳変性症によるふらつきや転倒を防ぐうえで、欠かせない訓練です。初期段階では、平坦な床での歩行からはじめ、徐々に段差や方向転換を含む動作へと難易度を上げていきます。
歩幅を広げる、視線を前に向ける、リズムを意識するなどの工夫も有効です。歩行器や手すりを活用し、安全を確保しながら行いましょう。継続することで移動への自信がつき、外出や社会参加の意欲にもつながります。
➅生活動作練習
生活動作練習では、食事・トイレ・更衣・入浴など、日常生活の基本的な動作(ADL)をできるだけ自分で行えるように訓練します。例えば、ボタンの着脱練習や箸・スプーンを使った練習など、本人の能力や生活環境に応じて内容を調整します。
繰り返し練習することで、失われつつある動作の再習得や維持が期待でき、自立度の向上と家族の介護負担軽減にもつながるでしょう。
➆巧緻(こうち)動作訓練
巧緻動作とは、手や指を使った細かい動作のことを指し、脊髄小脳変性症ではこれらの機能も徐々に低下します。リハビリテーションでは、ビーズ通し・洗濯バサミの開閉・ボタンの留め外し・箸の使用練習などを行い、手先の器用さと筋力を維持・回復に努めます。
集中力も必要とされる訓練のため、無理のない範囲で時間や内容を調整しながら、継続することが重要です。日常生活の質を保つうえで、地道ながら効果的なリハビリテーションです。
⑧構音・嚥下(こうおん・えんげ)練習
構音障害(発音の不明瞭さ)や嚥下障害(飲み込みの困難)は、会話や食事に支障をきたしやすく、生活の質(QOL)を大きく左右します。言語聴覚士の指導のもとで行う発声練習や、食事中にむせを防ぐ姿勢の改善、飲み込みの訓練が有効です。
特に、「LSVT LOUD」は、パーキンソン病に対して有効性が確立された発声訓練プログラムですが、脊髄小脳変性症でも応用例があり、声の大きさや明瞭さの改善に役立つ可能性があると報告されています。安全に食事を摂り、他者との会話を楽しむためにも、早期からの取り組みが病気の進行に大きく影響します。
まとめ
脊髄小脳変性症は進行性の難病ですが、適切なリハビリテーションを継続することで、運動機能の低下を緩やかにし、日常生活の質を保つことが可能です。
ストレッチや筋力トレーニング、バランス訓練など、多面的なリハビリテーションは、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな支えとなります。状態に合わせたプログラムを、専門職と連携しながら無理なく続けることが大切です。
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