コラム
ご高齢者の転倒による怪我のリスク
はじめに
年齢を重ねるにつれ、筋力や体力の衰えを実感している方も多いのではないでしょうか。
ご高齢者にとって気を付けるべきことの1つが「転倒」です。ご高齢者の転倒は場合によっては大怪我になり、以後の日常生活に影響を及ぼす可能性が高くなります。
今回は、ご高齢者の転倒と怪我のリスクなどを紐解いていこうと思います。
なぜご高齢者は転倒しやすいのか
ご高齢者が転倒する主な原因として、以下の3つが挙げられます。
高齢による筋肉の衰え
年を取ると徐々に身体機能が低下し、筋肉の衰えだけでなく瞬発力の低下や柔軟性も低くなってきます。そうなると、つまずき転倒しそうな時に、とっさに回避行動をとることが難しくなり、転倒してしまう可能性が高くなります。
病気や服薬の影響
加齢に伴い、さまざまな疾患を抱えることが多くなり、複数の薬を服薬するケースも少なくありません。場合によっては、薬の副作用によってめまいや立ちくらみなどの症状が出ることもあり、転倒に繋がってしまう要因となることもあります。
高齢による運動不足
加齢による筋肉の衰えによって手足が重く感じ、動かすだけでもひと苦労な状態になります。そうなると日常生活での運動量が低下し、ますます筋力が衰える悪循環に陥りやすくなります。
なお、令和3年10月に消費者庁が発表した調査(※1)によると、転倒事故が発生する場所で一番多かったのは「自宅」であり、606件中299件と全体の約49%を占めています。
自宅で転倒するリスクが高くなる要素として、政府広報オンライン(※2)でも注意喚起されているように、居間のこたつのコードや敷居の段差などでのつまずきや、玄関の土間から室内への段差やフロアーマットなどの滑りがあり、それによりから転倒するリスクがあります。
(※1)消費者庁 毎日が転倒予防の日 参考資料➚
(※2)参考:政府広報オンライン➚
転倒するとどうなるのか
令和6年に消費者庁新未来創造戦略本部が行った、「日常生活において、けがをした、またはしそうになった経験」のアンケート調査では、「つまずく、転ぶ、よろめく」といった転倒に関する回答が最も多く、転倒した結果の回答が発表されています(表1)。件数831件のうち、打撲、擦り傷に次いで骨折が30.7%も占めていることがわかり、令和3年の10月の消費者庁の調べ(表2)では、骨折の部位として最も多かったのが「脚・足」であり、全体の48%を占めていたことが報告されています。
さらに、厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によると、要介護または支援が必要になった原因の第3位が「骨折」であり、認知症や脳血管疾患などに次いで、上位にあることが公表(ホームページにも記載)されています。(表3)
これらのデータを見ると、ご高齢の方の転倒は極めて危険であり、入院を余儀なくされたり、要介護認定を受けたりして、日常生活に支障をきたす恐れもあるのです。
(表1)引用:消費者庁新未来創造戦略本部「令和6年高齢者事故防止に関するアンケート調査」より➚
(表2)引用:消費者庁「毎日が転倒予防の日」より➚
(表3)引用:厚生労働省「2022(令和4年)国民生活基礎調査の概況」より➚
転倒を防止するにはどうしたらいいか
家の中の整理整頓を心掛ける
家の中には転倒を引き起こす要素がたくさんあります。居間の床に読みかけの新聞紙や雑誌、本などを置きっぱなしにしておくと、つまずいたり滑ったりして転倒の原因になります。
また、廊下などに置かれたスリッパなども非常に滑りやすく、転倒を引き起こす可能性が大きくなります。
外出時にも注意を怠らない
外出先にも転倒に繋がる危険なものがたくさんあります。特に雨上がりの際は、みずたまりや濡れたマンホール、濡れたグレーチング(側溝)などが非常に滑りやすくなりますので特に注意が必要です。またスーパーの中でも鮮魚コーナーなどの床の濡れや、野菜コーナーの野菜くずなども非常に滑りやすいので、同様に注意が必要です。
基礎体力や筋力の維持・向上
先ほどにもありましたが、転倒の原因のひとつとして筋力の低下が挙げられます。これを防止するために日々のトレーニングを日常生活に取り入れるのも良いかもしれません。
トレーニング内容については、日本理学療法士協会が出している理学療法ハンドブック「転倒を予防していつまでも元気に➚」を参考にしていただけたらと思います。
栄養のある食事をきちんと摂る
日々の運動を取り入れるのは良いことですが、それにはきちんとした食事があってのことです。日々バランスの取れた食事を朝・昼・晩、必ず食べるようにし、規則正しい食生活を送ることが大切です。
詳しくは当ホームページのコラム内にある「ご高齢者の食事と栄養について➚」をご覧いただければと思います。
まとめ
ご高齢者にとって、転倒による日常生活への影響度の高さはとても無視できるものではありません。
筆者の祖母は踏み台から落下し大腿部を骨折、入院を余儀なくされました。そしてそのまま寝たきりになってしまったのを覚えています。
気持ちは若くても加齢に伴う身体能力の衰えはどうしてもやってきます。それをきちんと受け入れたうえで何をするべきかを考えることが重要なのではないでしょうか。
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