コラム
高齢者と災害
はじめに
日本では少子高齢化が進み、ご高齢の方の人口が増えるとともに、災害発生時に災害時要援護者(注1)の方々が被災する事例も多発しています。
これに対し、国土交通省は、災害時要援護者の方々の安全や安心を確保することが求められると述べています。(注2)
数ある災害の中でも、近頃地震が多発していると感じているのは筆者だけでしょうか。
地震というのは、日常生活や、大切な人の命さえも簡単に奪っていく可能性のある極めて恐ろしい自然災害のひとつです。
平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災や平成23年(2011年)に起きた東日本大震災では、いくつもの大切な命が失われ、日本全土が深い悲しみに包まれました。
そして現在、気象庁は、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年))が発生してから70年以上経過しており、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まっているとしています。
現に令和7年1月には宮崎県を中心とした最大震度5弱の地震が発生し、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表するに至っています。
ここでは、ご高齢の方を含めた災害時要援護者の方々が、災害に対して事前に備えるべき対策などを紹介していきたいと思います。
災害発生時に早く確実な情報を把握して、災害から身を守るための安全行動や避難などの一連の動作において支援を必要とする人のことを言います。
一般的には、ご高齢の方・障がいをお持ちの方・外国の方・妊婦の方や乳幼児などが挙げられます。
参照:内閣府防災情報 これまでの災害時要支援護者の避難対策より➚
(注2)参照:国土交通省 少子高齢化を踏まえた災害時の安全・安心より➚
災害に備えるためにやっておくこと
指定避難場所の確認
住まいの地域には「指定避難場所」が設けられているはずです。災害発生後はすみやかに指定の場所に避難できるよう、事前に確認しておきましょう。
特におひとりで住まわれている場合や、ご高齢の夫婦だけで住まわれている場合は、指定避難場所を把握していないことが少なくありません。この場合ご近所さんや地域全体でのサポートが求められます。
災害時要援護者の方でも、知っているのと知らないのとでは気持ちの持ちようが違ってきます。
指定避難場所まで行ってみる
指定避難場所がわかったら、そこまで実際に行ってみましょう。徒歩での避難が可能な方は、実際にどれくらい歩くのか、あるいは体力がどれくらい必要なのかを確認しておくことが大切です。
体力に不安を覚えたなら、歩行のサポートをするための杖を準備するなどの対策を講じることができます。
ほかにも、「とりあえず行ってみる」ことで、思いがけず必要な課題がわかってくるかもしれません。
家具の転倒防止対策を施す
ホームセンターなどで販売している固定用テープや突っ張り棒などで家具や電気製品を固定し、転倒しないように対策しておきましょう。
特に、寝室に置かれる背の高いタンスなどは、万が一倒れても自分の方に倒れてこないよう配置を工夫することも必要です。
動線の確保を怠らない
災害発生後、状況によって屋外へ避難しなければならない場合があります。その時に床にたくさんの物が散乱しているとスムーズな移動ができず、場合によってはつまずいて転倒し、けがをしてしまう可能性があります。そうならないためにも、普段から床などに物を置かないように気を付けましょう。
持ち出し袋(非常用)の準備
持ち出し袋は、非常時にすぐに持ち出せるよう必要な物品をまとめておく袋です。ホームセンターなどで販売されていますので買っておきましょう。
ご高齢の方は、以下のようなものも必要になるかもしれません。
- 持病の薬やお薬手帳のコピー
- 携帯用の杖
- 老眼鏡
- 口腔ケア用品(入れ歯ケア用品など)
また、首相官邸から「災害の「備え」チェックリスト(注3)」が発行されていますので、そちらを参考に必要なものを選定するのも良いかもしれません。
(注3)参考:首相官邸 災害の「備え」チェックリスト➚
周りの人たちに手伝ってもらう
上記に書いたのは一例ですが、それでもこれだけの項目あります。
すべてをひとりで準備するのはとても大変なことです。ご家族や近所の方などに協力してもらい、準備する方が良いかもしれません。
国(行政)としての取り組み
国や行政は高齢の方を含めた災害時要援護者の方々の安全・安心な避難に向けて、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
内閣府は平成16年に発生した梅雨前線豪雨や、その他一連の台風などによるご高齢の方などの被災状況を踏まえて、避難支援の整備が充分にされていなかったことを大きな問題として受け止めました。これによって平成18年に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」(注4)を策定し、避難支援体制の整備を構築しています。
(注4)参考:内閣府 災害時要援護者の避難支援ガイドラインより➚
まとめ
日本は実に様々な災害を経験しています。災害によって多くの方が避難を余儀なくされ、中には着の身着のまま避難した方もおり、その後厳しい避難生活を強いられた方も多いことでしょう。
避難される方の中でも、高齢者の方も含めた災害時要援護者の方々は、自らの判断や行動だけでは安全を確保するのが難しい場合があります。そのため、周りの人たちが常に気にかけ、コミュニケーションを図りながら防災意識を高めていくことが、大切なことなのではないでしょうか。
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