コラム
気を付けたい 高齢者のインフルエンザ
はじめに
めっきり冷え込んできた今日この頃、毎年秋から冬にかけてインフルエンザの流行シーズンを迎えます。
流行を防ぐためには各自で「かからない」「うつさない」を心掛け、常日頃から対策を講じなければなりません。
インフルエンザは65歳以上の高齢者の方や、60歳から64歳で心臓や腎臓などの機能に障害があり体の抵抗力が落ちている方などは、特に重症化しやすいと言われています。
インフルエンザには「季節性インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」がありますが、今回は「季節性インフルエンザ」を中心に、重症化しやすいと言われている高齢者の方と、インフルエンザの関係についてお話したいと思います。
インフルエンザとは
インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスというウイルスが引き起こす気道感染症と言われていますが、一般的に「かぜ」と呼ばれている「かぜ症候群」とは分けて考えるべきもので、「悪化しやすい疾患」だと言われています。
感染経路は主に「飛沫感染」と「接触感染」の2種類で、一般的に約1日~3日の潜伏期間の後、発症するとされています。
症状や症状が現れる部位なども「かぜ症候群」とは異なり、発症傾向も、急激に発症する特徴があります。(図1)
(図1)
流行の時期と判断基準
流行の時期
厚生労働省によると、一般的には例年12月~3月が流行のシーズンと言われています。
詳細なところでは、インフルエンザの流行について、厚生労働省は流行入りと流行のピーク時期について公表しています。そちらを見てみると、2009年から2019年の10年間では、流行入りが11月下旬で、流行のピークが3月中旬となっています。
このことからも、インフルエンザの流行時期は11月下旬もしくは12月上旬~3月にかけてと言えるでしょう。
判断基準
よく新聞やテレビで「インフルエンザが流行している」と目にしたり耳にしたりしますが、そもそも「流行」の基準はどのように決められているのでしょうか。
厚生労働省では、感染症サーベイランス事業(※1)により、インフルエンザ定点医療機関として全国約5,000の医療機関を選定し、週ごとに患者数を把握しています。
これを基に国立感染症研究所では「インフルエンザ流行レベルマップ」を作成し公開しています。こちらでは、過去の患者発生状況も踏まえて基準値を設け、注意報や警報が見える形で公開されています。(※2)
(※1)厚生労働省:「院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)」➚
(※2)国立感染症研究所(NIID):「インフルエンザ流行レベルマップ」➚
(図2)参考:横須賀市「インフルエンザ流行情報の基準について」より➚
高齢者の重症化リスク
インフルエンザに感染して重症化しやすいと言われているのは、主に乳幼児や高齢者などです。それ以外には、呼吸器や心臓に疾患がある人、糖尿病や慢性の腎臓疾患を持っている方などが挙げられます。これらの方たちは一般的に体の抵抗力が弱いため、重症化するリスクが高いとされています。
奈良県立医科大学医学部 准教授 野田龍也氏のレポートの中にある「NDB(※3)によるインフルエンザ受診者数と重症化等の率・総計及び年齢階級別」(表1)によると、3年間の合計値で、60歳以上の高齢者での「死亡・または重症」の割合が、55~59歳の割合に比べ大きくなっています。このことからも高齢者のインフルエンザは、重症化しやすいと言えるのではないでしょうか。
また、高齢者のインフルエンザは重症化すると合併症を引き起こす可能性があり、引き起こされる主な合併症には、肺炎、脳症、中耳炎、心筋炎、筋炎などがあります。
特に気管支炎を併発した場合は、重症化すると心不全を引き起こす恐れがあります。
厚生労働保険局が管理している「匿名医療保険等関連情報データベース」
(表1)引用:「日本の医療データベースから算出された季節性インフルエンザの重症化率(P8)」より➚
予防を徹底し感染しないことが大切
インフルエンザに限らず、すべての感染症は予防を徹底して、「感染しない」ことが大切です。
インフルエンザを予防するために有効とされている方法(※4)
- 流行前のワクチンの接種
ワクチン接種した高齢者の方は入院の危険度が約1/3から1/2に減少するとされています。 - 外出から帰宅したときの手洗い・うがい
外出から帰宅したときの手洗い・うがいはもちろんのこと、アルコール製剤による手指の消毒はとても効果的です。 - 予防だけではなく広げないことも大切
インフルエンザの感染は、主に飛沫感染が多いとされています。飛沫感染では、せきやくしゃみによって口から出る小さな水滴(飛沫)によって人から人へ感染していきます。
普段から「人に向かってせきやくしゃみをしない」「せきやくしゃみが出るときはマスクを着用する」などのエチケットも欠かしてはいけません。
(※4)参考:厚生労働省「高齢者のインフルエンザは重症化することがあります」より➚
まとめ
インフルエンザ感染症は高齢者の方にとって重症化しやすい危険な感染症です。
インフルエンザの予防には、ワクチンの接種がとても有効です。
そして、手洗い・うがい、マスクの着用などを自分なりに生活のルーティーンとして新たに見直すことも大切です。
インフルエンザの感染防止に努めていただくとともに、万一感染が疑われる場合には、早めに医療機関を受診するようにしてください。
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