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NEWS & COLUMN

2024.09.30

コラム

高齢になるほど気をつけたい熱中症

はじめに

暑さが和らぎつつも、日中はまだ汗ばむ陽気が続いています。夏の終わりを告げるように、朝晩の気温差も少しずつ感じられるようになってきました。しかし、まだ残暑が厳しい日もありますので、「熱中症」には引き続き注意が必要です。特にご高齢の方は注意が必要です。
今回は、そんな危険いっぱいの熱中症についてお話したいと思います。

熱中症とは(熱中症のメカニズム)

熱中症は、体の体温調節機能が不調によってうまく機能せず、体内の水分や塩分など(ナトリウム等)がアンバランスなりそれに伴う筋肉の硬直(足がつる等)、めまい、などの体調不良の総称のことを言います。
高温で湿度の高いところで長時間滞在したとき、その後に発生する体調不良は熱中症の可能性が考えられます。そして身体の調節機能の不調が一線を越えると、急激に症状が悪化し、死に至ってしまう場合があります。

私たち人間は運動をすると体の中に熱が生まれ、体温が上昇します。しかし私たち人間には体温調節機能が備わっているため、体温が上昇しすぎたと体が判断したときには、自律神経の作用によって体の抹消にある血管を拡張させます。そして皮膚にたくさんの血液が流れ込むようにすることで体に溜まった熱を放出します。それと同時に人間は汗をかき、その汗が外気に触れて蒸発し体の熱を奪う性質を利用して体温を下げようと働きを行います。
ところが、あまりにも暑い環境下や湿度の高い場所に長時間居続けると、体温調節機能正常に機能しなくなり、体の外へ熱を逃がすことができなくなります。すると、体内にどんどん熱が蓄積されて体温が上昇し続けます。高温多湿の場所では、体から放出された汗が蒸発することができず、体温を低下させることができなくなります。そして、汗を大量にかくと、体内の水分や塩分を失うことになり、体液バランスの崩壊を呼び起こし、筋肉・血流や神経などに様々な影響を及ぼしてしまいます。それにより呼び起こされる症状としては、けいれんやめまい、吐き気や頭痛、失神などが挙げられます。(図1)

熱中症のメカニズム

(図1)

(図1)参考:環境省 熱中症予防情報サイト➚

高齢の方はなぜ熱中症になりやすいのか

「ご高齢の方は熱中症になりやすい」とよく言われますが、それは何故でしょうか。
ご高齢の方がよく起こす熱中症は「非労作性(古典的)熱中症」と呼ばれるタイプです。これはスポーツや労動をせず、1日中寝て過ごしていても、暑さに長時間さらされることで起きる熱中症のことです。これは室内で良く起きる熱中症で、重症化しやすいと言われています。

ご高齢の方が熱中症にかかりやすい理由

暑さを感じにくい

ご高齢の方は、暑さやそれによる喉の渇きなどが感じにくくなり、適切な冷房などの室温管理ができず体温調節が遅れ気味になり高体温になりやすいと言われています。

水分が不足気味

水分を溜める役割を担う筋肉の衰えで、体内の水分量が少なくなり、脱水症状を引き起こしやすいと言われています。

汗をほとんどかかない

高齢になると、汗の出始めが遅くなったり、出ても量が少なかったりと、汗による体温調節ができずに熱が体に溜まりやすいと言われています。

全国のご高齢者における熱中症の状況

ご高齢者の熱中症の発生人数はどれくらいなのでしょうか。
総務省では、令和5年の熱中症による救急搬送状況を年齢別に分けて公表しています。(表1)
下図の円グラフを見てみると、ご高齢者の方が5万173人と最も多く、全体の54.9%を占めています。

(表1)

(表1)参考:総務省「令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」資料4-2より➚

熱中症予防には何をすればいいのか

計画的に水分補給をする

ご高齢者になると、体内の水分量が減少蹴項にあるので脱水症状に陥りやすくなります。また脱水状態にあることを認識するのが遅い、もしくは察知しにくいため、水分補給が遅れがちになってしまいます。定期的な水分補給を心掛け、脱水症状を未然に防ぎましょう。

定期的に室内の気温や湿度を測る

体温の調節機能が落ちているご高齢者の方は、気温上昇に伴う体温の上昇に気づきにくくなります。これにより体温を調整する体の反応や、エアコンなどの室内温度調整が遅れがちになります。気温計や湿度計、体温計などを活用して適度にエアコンを使用するなどすることが大切です。

外出への配慮

外出にあたって、温度差のある屋内外の出入りが頻繁になると、体への負担が大きくなりがちです。1日の気温の変化に対して、柔軟に対応できる服装で出かけるようにし、水分を常に持ち歩いて定期的に水分補給をするなど、自分の体を守りながら行動しましょう。

適切なエアコンの使用を心掛ける

梅雨や夏場になると、日差しが無くても室内は高温になります。また、風通しが悪く湿度が高いところでは熱中症の危険度が急激に増します。適度にエアコンや扇風機などを使用して、居心地の良い環境で過ごすようにしましょう。

まとめ

熱中症は重症になると40度以上の高熱になり、処置が遅れると最悪の場合、死に至る可能性がある危険な症状です。
特にご高齢の方は熱中症になりやすいため常に注意をして日常生活を送らなければなりません。そして周りの人たちもご高齢の方に気を配り見守ることが大切です。
周りにはご高齢の方はいらっしゃいますか? 一人暮らしをされているご高齢の方はいませんか? 今一度周りの状況を見直していただき、ご高齢者の方が安心安全な生活を送れるように見守ることが、わたしたちの重要な役割のひとつではないでしょうか。

 

 

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