コラム
介護関係の職場で働く看護師たち
はじめに
幼い時に病院や健康診断などで注射を打たれ、痛かった記憶は多くの方に残っているのではないでしょうか。そんなときにそばで優しい声で安心させてくれた女性は「看護婦」さんでした。
でもこの「看護婦」という呼び方は、現在では正式名称ではないことはみなさん知っての通りだと思います。
昔から慣れ親しまれてきた看護婦さん。現在の正式な名称は「看護師」になります。2001年の法改正(※1)で、それまで女性は「看護婦」、男性は「看護士」とされていた名称が、性別を問わず「看護師」に統一されたことにより男女関係なく資格を持っている人を看護師と呼ぶようになりました。そして現在では、看護師ならびに保健師、助産師、准看護師のことを総じて「看護職」と呼称するようになっています。
看護師と言えば病院やクリニックなどで働くものと思われる方も多いかもしれませんが、訪問看護や介護老人福祉施設・介護老人保険施設などで活躍している看護師もたくさんいます。
高齢化が進む中、今以上に介護を必要とする方が増え、介護現場で働く看護師が多く求められることは間違いないと言われています。
opsol株式会社では、2024年6月現在で135名の看護師資格をお持ちの方が基本交代勤務で働いています。
そこで今回は「介護関係の職場で働く看護師さん」にスポットを当ててみました。
出典:厚生労働省 保健師助産師看護師法等の主な改正経緯➚
看護師とは
看護師は、身体の疾患や外傷をもった人たち、またはじょく婦(産後間もない女性)の療養上のお世話や、医師の診療の補助などを行うことを職務としています。
また、患者さんからの相談や悩みなどに耳を傾けるなど、心のケアにも取り組むことが求められています。
病院とは違い医師が常駐しない場合が多い介護施設での業務に従事する看護師は、ご利用者様に医療ケアが必要であると考えられるか否かの迅速な思考が求められます。
このような介護分野で働く看護師の主な業務を、一覧表にしてみました。(表1)
ご高齢者の方が多い介護施設などにおいて、日々の医療行為は欠かせない業務となっていますが、介護の現場で働く看護師たちは移乗介助、食事介助、入浴介助、更衣介助など、介護の業務もこなさなければなりません。
(※2) 厚生労働省(通称:平成17年通知)医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
(※3) 厚生労働省 令和4年通知 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)〔保健師助産師看護師法〕
看護師の歴史
ここで少し看護師の歴史について簡単に見てみましょう。
看護という言葉で「ナイチンゲール」と思い浮かべる人は少なくないでしょう。看護という仕事はナイチンゲールが出現する1850年代までは、社会的に確立されたものではなかったようです。
1860年(江戸時代末期)に、ナイチンゲールにより、世界で初めての看護婦養成所がロンドンに創設されました。日本は幕末の動乱期のうえに、長年の鎖国によって西洋医学にかなりの遅れを取っていました。そのとき欧州ではすでに西洋医学を確立していくとともに、看護婦(現看護師)の重要性を認め、地位を確立していったわけですね。この養成所では「ナイチンゲール方式(注1)」と呼ばれる教育内容を採用したと伝えられています。
日本で看護婦の資格制度が始まったのは1915年(大正4年)。「ナイチンゲール方式」は、日本の看護教育にもまた、多大な影響を与えたと言われています。
マトロン(看護総監督)の存在や病棟による実践教育、見習い生徒たちの寄宿舎制度など、医療の中で新しい女性の専門職の創始を目指した教育。
参考:ナイチンゲール方式による看護教育の特徴とその広がり➚
opsol株式会社で働く看護師に聞いてみた
opsol株式会社では事業の特性上、近年「施設内訪問看護」とも呼ばれるようなスタイルで、135名の看護師が基本交代勤務でご利用者様の体調管理やケアを行っています。
実際にopsol株式会社で働く看護師にやりがいやその他の質問に答えてもらいました。
質問:なぜ介護と関連が高い現場で看護師として働こうと思ったのですか。
回答:
- わたしは就職当初から介護関係の事業所で働いていますが、一番の理由は地域のご高齢者の方々のお役に立ちたいと思ったこと、そしてもっと専門的な知識を高めたかったからですね。
- 前職では病院の病棟での看護をしていたのですが、患者様だけではなくご家族様との繋がりが非常に楽しく、病気治療のサポートをするだけではなく日常生活の支援もしていきたいと思ったためです。
質問:この仕事のやりがいとは何ですか。
回答:
- 些細なことなのですが、ご利用者様やそのご家族から名前を呼ばれたときはうれしいですね。あと、相談相手として療養上の相談をしていただけたときも、やりがいを感じます。
- ご利用者様やそのご家族様から「ありがとう」と感謝のお言葉をいただいた時には「やっていてよかった」と感じることができます。他にも、車いすのご利用者様が、歩行訓練をとても楽しんでされているお姿を見た時に、やりがいを感じますね。
質問:業務に従事してきた中で、「介護事業所の看護師であるが故の不便さ」はどのようなことがありますか。
回答:
- 介護系の事業所では原則として医師が常駐しているわけではないので、容態の急変時に対応するときは焦ることがあります。早く負担を減らせてあげたいのに指示待ちで何もできない事へのジレンマはよく感じることがあります。
質問:日々のストレス発散法はありますか。
回答:
- お酒を飲む。これにつきます(笑)
- ひとりになることです。その時は周りとの関わりを極力持たないようにして、自分の時間を大切にしています。
業務中にトラブルや突発事象が発生することなどは日常茶飯事だと思います。それをとっさの判断で行動に移すためには常に周りに目を配らなければならず、ストレスも溜まっていくでしょう。しかし、それを上回るほどのやりがいを感じて仕事に従事している姿には尊敬するところ、そして見習うべきところがたくさんあります。
まとめ
介護業界で働く看護師は、ご利用者様の健康管理を担う大変重要な役割を担っています。
そして多岐にわたる複雑な業務をこなすために幅広い知識が要求され、また、コミュニケーション能力や他部門との調整力も求められる職業と言えるでしょう。
そして、医師が常駐している環境ではないことがほとんであるため、病院などとは違う種類の緊張感をもって仕事に取り組まなければならない一面もありますが、その分やりがいのある職業とも言えるかと思います。
一方、令和3年に日本看護協会がまとめた調査報告書では(※4)、介護施設等への看護師の配置数が少なくなってきていると述べられてます。また、病院と比較すると組織内の指示命令系統が曖昧な場合もあり、業務過多などが危惧されるとも述べられています。
今後も看護師の配置が少なくなった場合、これからも続く超高齢社会の波に、私たち日本人は対抗することができるのか、強い危機感をもって注視していく必要があるのではないでしょうか。
(※4)公益社団法人 日本看護協会「介護施設等における看護職員のあり方に関する調査研究事業 報告書」➚
難病・がん末期の対応に特化した高齢者向け住宅の高齢者向け住宅『パリアティブケアホーム』をご利用ください
全人的な緩和ケアで要看護期を幸せにする高齢者向け住宅『パリアティブケアホーム』は、大阪府・愛知県を中心に、がん・難病を抱える方に対して日常生活を豊かにするための支援を行っています。まずは、お近くのホームにお気軽にお問い合わせください。
【大阪府】
■パリアティブケアホーム はなの楠根
所在地:大阪府東大阪市楠根3丁目2番41号■パリアティブケアホーム ゆきの彩都
所在地:大阪府茨木市彩都あさぎ5丁目10-10■パリアティブケアホーム ほしの岸和田
所在地:大阪府岸和田市磯上町1丁目3番29号■パリアティブケアホーム スタイルプラス にじの大蓮
所在地:大阪府東大阪市大蓮南4丁目25番12号【愛知県】
■パリアティブケアホームそらの春日井
所在地:愛知県春日井市松河戸町3丁目8番地7■パリアティブケアホームつきの小牧
所在地:愛知県小牧市小牧5丁目315