コラム
介護疲れで壊れてしまう前に
はじめに
我が国の65歳を超える高齢者の方の数は2025年で3,677万人、2040年には約3,900万人となることが推定され、日本の人口の35%を占めると言われています。(総務省統計局調べ)
この数字から見ても、今後さらに介護が必要になるご高齢の方の数が増加することは、確実であると言わざるを得ません。
そして、現在介護とは無縁の方も、同居の方(パートナーやご家族など)を在宅介護するときが来るかもしれず、決して対岸の火事ではないことを認識しなければなりません。
在宅介護をする苦労は計り知れず、介護に携わる方にしかわからない苦しみも当然あるでしょう。
ここでは在宅介護をするにあたり、要介護認定を受けている方の人数などの現状や、介護に疲れた時の相談窓口などを紹介させていただきます。
65歳以上のご高齢者と要介護(要支援)認定者の人口
65歳以上のご高齢者の人口と、要介護(要支援)認定者の方を年ごとに比較してみましょう。
要介護(要支援)認定を受けている方は年々増え続けており、令和5年でおよそ695万人の方が認定を受けています。(表1)
(表1)参考:厚生労働省 介護保険事業報告(暫定)令和6年より➚
では、65歳以上の高齢者の方々に対して、要介護(要支援)認定を受けている方々の占める割合はどうなっているのでしょうか。
過去3年間で要介護(要支援)認定を受けている方の割合は18.8%~19.1%を推移しています。(表2)この割合を低いと思うのか高いと思うのか、感じ方は人それぞれでしょう。しかし要介護(要支援)認定を受け介護を必要とされている方々は、確実に増えていることは言うまでもありません。さらに今後はもっと増え続ける可能性も否定できないのです。
(表2)参考:総務省統計局 高齢者人口及び割合の推移より➚
(注1)令和5年(2023年)の人口は総務省 令和5年9月の報道資料より抜粋
https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics138.pdf
在宅介護が限界になる主な理由
次に在宅介護に関する苦労、特に在宅介護が限界になる主な理由についてみてみましょう。
介助する方の疲労の蓄積
同居している方が自分でトイレに行けなくなった場合、サポートが必要になってきます。それだけでも体力を使うのに、ご高齢の方ですと夜間のトイレに行く回数が頻繁になる傾向があります。そうなると、介助者は同居の方のトイレ介助の為に起きてはまた眠る、というサイクルが発生し、睡眠不足に陥ってしまいます。そして体に疲労が溜まってきてしまいます。
介助者の責任感による心の負担
介助者が、「自分が頑張ればいい」「誰にも頼るわけにはいかない」など強い責任感を感じ、それに押し潰されてしまい、うつ病などの心療系疾患を患ってしまうことがあります。
介護離職による生活苦
仕事と介護を両立することが困難になり本業を離職する「介護離職」により収入源を失い、経済的に困窮し、生活苦に陥ってしまう場合があります。
特定の介護者への負担の集中
周囲の円滑な協力関係があることが望ましい在宅介護において、同居していない家族や親戚が非協力的な場合、日々介護をする方は孤立してしまい、精神的にも体力的にも負担が集中し、ストレスと疲れだけが蓄積されていきます。
自分の時間を持てない
介護をするにあたって、介護のために使わなければならない時間が増えると、自分の時間を持てなくなってしまいます。外出や趣味に打ち込むこともできなくなってしまうため気分転換もままならず、ストレスを溜める結果に繋がります。
下記グラフ(表3)を見てみると、介護・看護疲れによって自ら命を絶ってしまう方が毎年増え続けています。割合で見た場合、令和2年から令和4年までの2年間で0.5ポイント(208名)上昇し1.3%を示しています。
統計的には少なく見えるかも見えませんが、毎年数百人規模で命を絶たれている方がいるという現実は重く、決して小さい数字では無いはずです。自ら命を絶ってしまうような状況に陥ることを防ぐためにも、早め早めの対策が重要になってきます。
(表3)参考:厚生労働省 令和4年中における自殺の状況より 付録1 年齢階層別、原因・動機別自殺者数①➚
介護疲れを感じたら
それでは、介護者が実際に介護疲れを感じた場合はどうすれば良いでしょうか。
まず、絶対にひとりで悩んではいけません。まずは誰かに相談しましょう。どこかでガス抜きをしなければ、悩みと疲労が限界を超えて壊れてしまいます。決してひとりで抱え込んではいけません。
相談先は、ご兄弟や親戚・友人など誰でも構いませんが、専門知識を持った専門機関に相談するのが望ましいでしょう。そのような相談窓口について、いくつか記載しますので、参考にしてください。
◆◆ 介護疲れを感じた場合の相談窓口の例 ◆◆
地域包括支援センターの活用
地域包括支援センターは、市町村が主体となっている組織であり、社会福祉士、保健師、ケアマネージャー(介護支援専門員)などの専門スタッフを配置しています。ご高齢の方の健康面や日常生活のちょっとした心配事から介護、金銭面などの悩み相談まで、幅広く受け付けています。相談するにあたって、費用などは必要ありません。
地域包括支援センターは、ご高齢の方に関わることなら基本的にどんなことでも気軽に相談できるので、活用すると良いでしょう。
市区町村の役所(市役所、区役所など)に相談する
各市区町村では要介護認定手続きや介護保険制度の利用手続き等が行えるように、介護に関する相談窓口が必ずあります。
介護保険課、高齢福祉課、認知症の相談窓口など、地域によって様々な種類や名称がありますので、まずはお住まいの市区町村の役所に連絡してみるのも良いでしょう。
かかりつけ医に相談してみる
かかりつけの医師がいるのであれば、医師が具体的な相談窓口を教えてくれる場合があります。かかりつけ医であれば、介護を必要とされている方の病状や健康状態などを把握していますので、より適した相談先を教えてくれる場合もあります。
まとめ
介護の大変さや苦痛は、経験した人にしか理解できないものです。介護疲れを感じている方の多くは「強い責任感」を持った方たちなのではないでしょうか。責任感の強い方ほど悩みや苦痛を抱え込んでしまい崩れてしまうものです。そうならないためにも早め早めの相談を心掛けてください。
国や行政は今後迎える2025年問題(注2)や2040年問題(注3)に向けて、政策の進行を加速することが急務であることをさらに真摯に受け止め、更なる緊張感を持って取り組んでいっていただきたいと思います。
「団塊の世代」と呼ばれる人たちのおよそ800万人全員が75歳以上を迎える「超高齢社会」が生じます、これにより年間死亡者数の急激な増加、それに伴う人口の減少が顕在化されることが懸念されています。
いわゆる「超高齢社会」到来の第2波で、2040年には「団塊ジュニア世代」と呼ばれる人たちが高齢者になります。これによって日本の総人口の約35%が高齢者になると言われています。
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