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NEWS & COLUMN

2024.07.09

コラム

「認知症?」と感じたとき家族は何をすべきか

はじめに

戦後復興、高度経済成長、バブル景気。これらを築き上げ、または経験した世代の人たちのことを「団塊の世代」と呼び、具体的には昭和22年(1947)~昭和24年(1949)に生まれた戦後世代の人たちのことを指します。
超高齢社会のさらなる進行の中で2025年問題に直面することになりますが、すでに2022年から団塊の世代の方たちが後期高齢者(75歳以上)に達しはじめています。このことが医療や福祉分野などにさまざまな影響を与え、社会保障費の増大や不足などが生じ、社会の構造が大きく変わる分岐点を迎えるなど様々な分野で警鐘が鳴らされています。
そういった中、高齢者が直面する課題の中で最も懸念される疾患の一つに「認知症」があります。資料からは、認知症は75歳~79歳から急増する(表1)ことが見て取れます。

ここでは、パートナーもしくはご両親が認知症になった場合、「何をどうすればいいのか」を紹介していきたいと思います。

(表1)首相官邸ホームページ 認知症年齢別有病率の推移等について➚より引用
参考:内閣府 平成20年版高齢社会白書 第1章 第1節6「団塊の世代」の高齢化➚

目次
認知症の種類
認知症のサイン
家族が「認知症かな?」と感じたら
まとめ

認知症の種類

そもそも認知症とは、認知機能(思考力、記憶力、論理的推理力など)や行動する能力が、日常生活に影響をきたすほど失われた状態のことを言います。
認知症の原因疾患として代表的に取り上げられているのは次の4つです。

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血血管認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭葉型認知症

その中で最も有病率(注1)が多いのはアルツハイマー型認知症の67.6%となっています。(表2)

(表2)厚生労働省 「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)」➚より引用

アルツハイマー型認知症は、アミロノイドβと呼ばれる特殊なたんぱく質などが脳内に溜まることで神経細胞が壊れ死んでいき、細胞がどんどん減ってしまう病気です。これによって神経伝達がうまく出来なくなるほか、神経細胞が死んでいくことで脳に委縮が起き、身体機能も低下していくと言われています。

注1 有病率:疾病の頻度を表す指標のひとつ。ある1時点(集団のある1時点など)において、疾病を有している人の割合のこと。健康問題の大きさを把握し、行政での対策立案などで有用な指標となります。

認知症のサイン

日々ご家族と暮らしていく中で、パートナーやご両親の言動に「あれ?何かおかしい」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
認知症の初期症状として、以下のものが挙げられます。

 

  • 同じ内容を何度でも聞く、同じものを何度でも買う
  • 適切な言葉がとっさに思い浮かばない
  • やる気の喪失、物事への興味が薄れてくる
  • 日付がわからなくなる
  • 性格が変化する(大人しい人は怒りっぽく、怒りやすい人は物静かになる)
  • 身だしなみを整えるのがおっくうになる
  • 通り慣れた道でも迷う    など

よく初期症状のひとつとして「物忘れ」が挙げられますが、加齢による物忘れとは明らかに違うものであり、その違いを見逃さないことが大切です。
認知症は「約束を交わしたことを覚えていない」や「食事したことを覚えていない」といった「体験したこと自体覚えていない」というのが特徴です。そもそも本人の中では体験していないことになっており、質問をしたという事実もなかったことになってしまいますので、何度も同じことを尋ねてくるといった事象が頻繁に起こってきます。
本人の中では体験すら忘れているわけですから「さっきご飯食べたじゃん」と伝えても「意地悪をされた」と怒り出してしまう場合があるので注意が必要です。

(表3) 参考:太陽生命 「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」の違いとは➚

家族が「認知症かな?」と感じたら

パートナーもしくはご両親に対して「もしかして認知症かも」と感じた場合、どうすれば良いのでしょうか。考え方や取るべき行動を例として下記にまとめましたので、認知症と向き合う第一歩として参考にしてください。

認知症について理解を深める

検査を受けるにしても、認知症に対してある程度の知識を得ておくことは有効です。認知症の特徴や症状、認知症と診断されたときの医師から家族への説明においても、事前に知識を付けておけば比較的スムーズに理解することができるでしょう。

ひとりで解決しようとせず、相談先を探す

認知症を患った家族の介護をするにあたり、複数の身内の方が持ち回りで介護できればよいのですが、中には「自分ひとりしか介護する者がいない」という方も多数いると思います。
認知症の介護はひとりでできるものではありません。
ひとりで抱えてしまうと、介護する方にとっての金銭的、時間的な負担や、今後先の見えない不安への重圧がのしかかり共倒れになってしまいます。必ず誰かに相談しましょう。

ケアマネージャーを探す

ケアマネージャー(正式名:介護支援専門員)は介護プランを計画するエキスパートです。必要とあれば役所の手続きなども代行してくれます。
当然介護する側においても何をすればよいか相談に乗ってくれますし、「ひとりじゃない」と感じられることが一番の強みではないでしょうか。
ケアマネージャーは地域包括支援センターなどの公的機関、居宅介護支援事業所などに勤めている場合が多く、最寄りの機関や施設に連絡し、広く相談に乗ってもらうのも良いかもしれません。

産業医に相談する

限られた方が対象になってしまいますが、産業医が常駐している企業では、身内の認知症や介護についての相談を経験している医師も多いため、相談するのもひとつの手です。具体的な道を示してくれるかもしれません。

医療機関の受診を考える

かかりつけ医がいればそこを受診して、「おかしい」と感じる前後の健康状態を詳しく説明することが大切です。それを踏まえて医師が診察をし、医師が認知症の疑いがあると判断した場合には、より専門的な医療機関を紹介してもらえるでしょう。

◆ 各種連絡先一覧

  • 地域包括支援センター
    地域包括支援センターは、すべての市町村に設置されています。保健医療や介護に関す
    る相談を受けてくれます。その他にも、認知症に詳しい認知症疾患医療センターなどの
    支援チームなど関係機関とも連携を取りながら様々な支援を行っています。
    厚生労働省 地域包括ケアシステム
  • 公益社団法人 認知症の人と家族の会
    フリーダイヤルで土・日・祝を除く毎日10:00~15:00まで受け付けています。
    電話番号 0120-294-456(フリーダイヤル)
    ※携帯電話・PHSの場合は050-5358-6578(通話有料)
    公益社団法人 認知症の人と家族の会 電話相談
  • 認知症疾患医療センター
    公的医療機関の立場として、本人やその家族などから電話や面談で医療的相談を受け付
    けている機関です。また各自治体や医療機関との連携や調整役も担っており、介護や生
    活支援サービスを求める家族には必要に応じて紹介もしてもらえます。認知症疾患医療
    センターを探すには、ご自分の住んでいる都道府県の公式サイトからチェックします。
    もしくは地域包括支援センターへ連絡して教えてもらうという方法もあります。

まとめ

認知症。それは誰もがかかる可能性のある病気です。認知症は少しずつ確実に進行していき、日常生活に支障をきたすような症状意思伝達の困難さが頻繁に起こるようになってきます。そうならないためにも早めの医療機関への受診、または認知症のサポート機関への相談を強くお勧めします。

一番防ぐべきは「共倒れ」です。ご家族の方が認知症を患ったら介護する自分の身を守るためにも早めの相談を心掛けてください。

 

 

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