コラム
介護福祉士ってどんな資格?
はじめに
介護業界の人材不足が続く昨今、令和5年に厚生労働省老健局が発表した介護職員数の推移によると、令和3年度現在で約215万人に留まっており、同省が令和5年度に公表した介護職員必要数233万人には程遠い状況にあります。
令和元年~令和3年までの介護職員の増加率で見ても+1.8%と低く、極めて厳しい状況と言わざるを得ないでしょう。
そのような厳しい状況下ではありますが、志を強く持った介護職員はたくさんいます。
そんな介護職員を代表する資格が『介護福祉士』です。多くの人がこの言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「聞いたことはあるけど、実際にはどんなことしてるいのかわからない」
「当然介護をするのだろうけど、大変そう」
というように思っている方も多いと思います。
今回はその介護福祉士について、どのような資格なのかをご紹介したいと思います。
目次
介護福祉士とは
介護福祉士になるためには
資格取得のメリットと課題
まとめ
介護福祉士とは
介護福祉士は名称独占資格(※1)に分類される国家資格です。
福祉関係の分科会より提出された意見の申し出(※2)に基づいて昭和62年3月に『社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)』が国会で成立され、介護福祉士はこの法律を根拠として誕生しました。
この法律は、社会福祉士と介護福祉士の資格制度について定めた法律であり、義務や名称の使用制限、義務違反に対する罰則などが記載され、「業務の適正を図る」、「社会福祉の増進に寄与する」という目的を、正しく達成・維持するために施行されたものです。
介護福祉士は、身体上や精神的な疾患の障害などで、日常生活に支障をきたす人に対し、専門知識や身に着けた技術を使って、その状況に応じた介護を行うことができる人のことを言います。同時に介護を受ける方に対して介護に関する指導も行えます。
介護福祉士に求められる技能等は年々高度化してきていますが、その中でも喀痰(かくたん)吸引(たんの吸引)(※3)は、医療行為の世界に一歩足を踏み入れた技能のひとつです。介護福祉士の資格ができた当初は医療行為であることを理由に実施不可とされていましたが、平成23年の介護保険法改正によって、条件付きではありますが実施可能となっています。
有資格者以外は、その名称を名乗ることが認められない資格のこと。
簡潔に言うと、『介護福祉士』の資格がないのに『介護福祉士』を名乗ってはダメ、ということです。
引用:文部科学省 国家資格の概要について
参考:厚生労働省 社会福祉士及び介護福祉士法
介護福祉士になるためには
介護福祉士になるためには介護福祉士国家試験に合格し、資格を取得しなければなりません。しかし、希望すれば誰でも受験できるものではなく、この国家試験には、受験資格条件が存在します。受験資格を満たすためには4つのルート(実務経験ルート・養成施設ルート・福祉系高校ルート・(EPA経済連携協定ルート))が存在し、各ルートともカリキュラムを経て初めて受験資格を得ることができます。(図1)
図1厚生労働省『介護福祉養成施設卒業に対する国家試験の義務付けについて』より抜粋
どのルートに関しても言えるのは、教育プロセスを経た上で、実務経験を積む必要があるということです。
これは、介護福祉士としての資質の向上と、更なる信頼と評価を高める目的として、平29年(2017年)から段階的に実施され、令和4年(2022年)に完全実施されることとなりました。
資格取得のメリットと課題
どんな資格でも、その資格を取得しているかどうかによって違いが出てきます。また、資格を取得して関連する仕事に就くことに、メリットや課題がついて回るものです。これは介護福祉士、つまり、介護職員においても例外ではありません。
では介護福祉士資格を取得して介護職員として働くに当たって、資格を保有しているかどうかによる違い、そして、資格を所得するメリットや、課題を見てみましょう。
〇介護福祉士資格を取得しているかどうかによる違い
- 給与基準の違い (※4)
介護職員として働く人は、基本給において、介護福祉士資格の有無でその基準の違いを感じている人が全体の約57%を占めており、半数以上の人が資格を取得する方が給与は高いと感じているようです。
- 昇進の条件や基準の違い (※5)
介護福祉士資格の有無で昇進の条件や基準が違うところが多く、勤務先の種類(施設系、在宅系、等)が違っても、平均で約60%の人が基準に違いがあると実感しているようです。その中でも病院で勤務している方は約80%の人が違いを感じており、昇進や出世に有利に働くことが窺えます。 - 将来のキャリアアップが有利になる
介護業界でキャリアアップを目指す人は介護福祉士の資格を取得していると非常に有利になります。例えば、介護福祉士からのキャリアアップの一例として、介護福祉士として経験を積むことで、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を目指すことも可能となります。(※6)介護支援専門員になれば、給与額も平均で月額約4.5万円高くなります。(図2)
図2 厚生労働省 老健局:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果より抜粋
- 転職が比較的容易になる
冒頭にも記載したように、現在介護職員が不足しており、介護職員の募集は積極的に行われています。その中でも即戦力としての期待が高い介護福祉士が優遇された求人が多くあります。
〇介護職員として働くことに関する課題
- 他業種に対して年収が高いとは言えない
働き盛りの30歳~34歳までの平均年収をみてみると、業種別で最も年収が高いのは、電気・ガス・熱供給・水道業の約426万円です。対して、介護職員が働く業界である医療・福祉はと言うと約330万円(図3)と決して高くはありません。
ただし、昨今、介護に従事する人材の不足から国が介護職員の処遇の改善を進めており、年々給与額の相場が上昇しています。この傾向は当面続きそうですので、今後も継続的に給与額の上昇は期待できるかもしれません。
図3 参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本系統調査より抜粋 - 体力が必要
移乗介護や入浴介助の多さなど、体力が必要とされる業務も多く身体的負担が多いのは否めません。また、勤務場所によっては夜勤もあるため、自分の生活リズムを管理するのが大変なところもあります。
まとめ
現在、我が国は2025年問題(※7)や2040年問題(※8)に直面しています。人口について、このまま推移すれば年齢別比率が劇的に変化し、65歳以上の高齢者が全人口の34.8%までを占めるに至ると言われています。しかも日本の人口は減少の一途をたどり、2070年には総人口が9,000万人を割り込むことが推測されています。
現在も進む高齢化に対し、介護・福祉施設と介護職員の数が圧倒的に不足している現状は、極めて深刻な状況にあると言わざるを得ません。
この状況を改善するためには、国が取り組んでいる政策の進行を、今以上に加速させる必要があるのではないでしょうか。
団塊の世代と呼ばれる人たちのおよそ800万人全員が75歳以上を迎える「超高齢社会」が生じます、これにより年間死亡者数の急激な増加、それに伴う人口の減少が顕在化されることが懸念されています。
いわゆる「超高齢社会」到来の第2波で、この年代には「団塊ジュニア世代」とよばれる人たちが高齢者になります。これによって日本の総人口の約35%が高齢者になると言われています。
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